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 しょうがない奴。その人好きのする笑い方に負けて、俺はヨージと会話をしてもいいという気になる。ヨージは、人の心をゆるませるという、ずるい特技を持っている。 「なんか俺に用」  どうせ昨夜のことについてだろうと思って、真正面から目を見て尋ねると、ヨージは芝居がかった調子で、「やれやれ」みたいな仕草をした。 「いや、今日さー、ウカがよくわかんねーケガしてて、カズイが大騒ぎだったんだよね。ウカは転んだとか言ってるけど、どう見たってそう見えないし。で、カズイが誰にやられたんだ、って怒りシントー。ウカがカズイをなだめてるうちに、なんか二人いい雰囲気になってさ。だから俺、ぬけてきた」  ヨージは、ストローをいじりながら言った。 「今頃『ヤリ部屋』でヤってんじゃねえ?」  俺はテキストに目線を落としたまま、言った。 「まあ、そうかもね」 「お前参加しなくていいの」  ヨージは静かに首を振る。 「まあ、キョウちゃんからしたらさ、今さら何言ってやがるって思うかもだけど、俺らもう『順番にツッコんで、わーい』とか、そういうんじゃないんだ。ただ、ウカが俺とカズイ、どっちか選ぶまでセックスなし、って言い出したのはカズイなわけだ。だから、あいつがルール破ったら、俺も一回権利あるはずだよな、キョウちゃん。それ当然の権利だよね?」  俺は、ヨージの日本語がわからない。     
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