03

3/6
前へ
/113ページ
次へ
「なあ、キョウちゃん。キョウちゃんはウカのこと、実際どうよ」  俺は質問に答えずに、「携帯ちょっと貸して」と言った。ヨージは「なんで?」と目で言う。  返事を待たずにテーブルの上のスマホを勝手に拝借する。ロックはかかっていなかった。直でアンナの番号を打った。 『はい?……』  訝しげな声で、アンナが出た。 「着拒とかしてんじゃねーよ、このメガ盛りブス」  俺は一方的に言って切ると、テーブルの上でスライドさせて、ヨージに携帯を返した。  ヨージの手の中に戻った携帯に、すぐに着信が入る。ヨージは億劫そうにそれに出た。そしてしばらく、うん、とか、ごめん、とか言い続けた。長い電話が終わると、ヨージはうんざりした声で言った。 「キョウちゃーん、田中サン、めっちゃ怒ってましたけど。おまけに俺も怒られましたけど。『てめえも仲間かヨージ! ファッキンDV野郎に、二度とかけてくんなって言っとけ!』だって。マジあの女、こええ。心底震えあがるわ」  俺は鼻で笑った。     
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加