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 ヨージは、カップに残っていた氷を口にいれ、噛み砕いた。そして何気なさそうな普通の声で、しかしはっきりと言った。 「……俺もカズイも、ウカをレイプしたんだぜ? どう転んでも自分レイプした奴なんか、好きになるはずないだろ」 「『ストックホルム・シンドローム』とかだとあるんじゃん?」 「なにそれ。なにその難しい言葉」  ヨージは俺が言った言葉を検索する。 「『自分の身の安全のために誘拐犯を好きになる』、ふーん……ああー、まあ、そういうのはあるかもね。でもたぶんウカは……ウカが言ってる言葉に嘘はない……いや、違うか……あいつは自分の嘘を信じこんで、」  ヨージは言いかけて、口ごもった。しかし、すぐにまた何かをふりきるように言葉をついだ。 「ともかく俺、ウカが何考えてるかわからないし、時々怖いって思う。もういい加減、このループに疲れたんだよ」 「抜けろよ」  くだらないごたくの後に、やっと結論めいたことを言ったので、俺は強く言った。 「だーかーらー、それができないから困ってんだろ? ウカが俺の事好きじゃなくても、俺はウカのことが好きだもん。親にも言っちゃった」  けろっと言ったので、俺は不覚にも笑ってしまった。 「はは、親、なんて」     
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