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「なんかLGBTの勉強しはじめた。『がんばれ』だって。それから相手がウカだって知ったら『あー、あのキレイな子』って超納得してたな」
「いかにも、だな!」
ヨージの親は、ヨージの親だけあって、ゆるいのだ。
「キョウちゃん」
ヨージの目を見る。珍しく真面目な顔をしていた。それでも口元はゆるんでいる。もともとそういう顔なのだ。
「キョウちゃんは……、じゃなくて、ウカ…………ってか、……俺……思うんだけど……」
また言葉がさまよう。ヨージは火を吹き消されたみたいに黙りこんだ。
時間が経過してゆく。
ヨージは席を立った。
ヨージは、来た時と同じように突然去って行った。
奴が昨日のことを何も聞かなかったのに気づいたのは、ヨージが行ってしまってしばらくたってからのことだった。
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