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ちびっこい俺らは小四で、全員同じ塾指定のブルーのバッグを持っている。
俺はその頃(今でもそうだが)笑って写真に写るなんて恥ずべき行為だと思っていたので、無表情だ。
カズイは、日に焼けたやんちゃそうな顔で笑っている。気まぐれな恐怖政治の下ウカを楽しく踏みにじっていたとは、とても見えないかわいい無邪気な顔だ。(カズイの場合、裏表があるというより、表しかないのだ。だからこんな顔で笑うことができるのだろう。)
ウカはというと、この頃からすでに不穏なくらいに整った容姿をしている。そしてなぜ自分がこの場所にいるのかわからないというような、曖昧な笑みをカメラに向けている。
それが妙に儚げで、子どもらしさが全然ない。俺やカズイのアホヅラと並んでいると、なおさらそれがよくわかる。
そんなウカのたぐいまれな容姿は、当時から何の恩恵もヤツにもたらしていなかった。
もっとはきはきとしゃべったら。
もっと堂々としていたら。
もっと運動ができて、もっと力が強くて、もっと身体がでかかったら。
あんな、女子に間違えられるのがテンプレみたいなルックスをしていても、ターゲットにはならなかったはずだ。
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