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 ウカは、いじめの標的になる要素が多すぎて、いじめてはいけないなんて言われても、皆が納得いかないような優良物件だった。  その見た目のせいで、大人たちからいつも注目されていた。それだけでも俺らキッズのイラつきを増幅させるのに、ウカは誰に何を言われても、何をされても反論も抵抗もせず、ふにゃふにゃ笑った。  その態度が余計周囲を煽り、暴力をエスカレートさせていた。  その頃カズイは、よくない意味で天衣無縫、スポーツもトップクラスで、クラスの王様そのもの。  ほら、よく童話なんかでさ、いるだろ? 驚異のうかつさで、美しくも邪悪なお妃にコロッと騙される奴が。継母となった妃の悪だくみに簡単に乗せられ、心優しい姫を一緒になって迫害したりする、ありえない奴。  もしくは、ずーっとひどい王様で、下々の者を苦しめていたのに、ちょっと知恵のある奴の策にはまっちゃって、諭されほだされ、めでたく改心。急にいい奴チームになっちまう王様。  まあ、俺に言わせりゃどっちもどっち、背中あわせ。全ての行為に悪意やためらいがない。やりすぎる。気まぐれに中断する。改心したそばから、またやりすぎる。浅はかなんだ。  カズイはそんな王様そのもので、それはそれはウカをもてあそんだ。毎日毎日小突きまわして、愚弄し、周囲はそれに便乗した。     
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