105人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
「……てかお前、なんで俺とアンナが別れたって知ってるんだよ」
「なんでって、アンナから昨日遅くに直電入って」
ウカは俺が口を開くと、嬉しそうに目をしばたたかせる。俺が基本ウカをシカトしてるから、どんな種類のものでも自分に興味を向けられるのが喜び、って様子。
だから、俺の声が、必死に感情を押さえようとして、妙に低くなっているのにも気づかない。
「……あの女、なんでお前にいちいち報告する」
俺は聞いた。
「え、キョウイチと別れたから、つきあって、だって」
脳が沸騰する。
たぶんアンナが目の前にいたら躊躇せずに殴っただろう。あのバカメス。
そんな風に思いながらも、俺は「アンガーコントロール、アンガーコントロール」と心の中で唱える。
『怒りが爆発しそうになったら、頭の中で静かな部屋に入りなさい。そこにしばらく籠もりなさい。そして、数を数えなさい。冷たい水が流れる様子を思い描いて』
マナビ学舎のナミキ先生の言葉を再生し、そして数をまた10から順番にカウントする。落ち着くんだ。10、9、8……。
何度もやっているせいで全然効果がないと思ったが、少し怒りから気が反れる。
最初のコメントを投稿しよう!