prologue

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「お前に相談できないのは、好きな相手がお前だからだよ!!」 「!!…先輩…」  夕日が何とも悲しい雰囲気を醸し出すようになってきた11月。俺は、後輩の美琴に告白した。  それまで、俺が美琴に何でも相談していたにも関わらず、俺が今度の恋の相手について、素性を明かさなかったことを一瞬にして理解し、頬を赤らめ、俺を見上げている。 「美琴、俺と付き合ってくれるか?」 「…」  美琴の目から、涙が溢れる。 「…先輩、本当は、とってもとっても、私、辛かったんです。先輩の、好きな人のことを聞いて、アドバイスすることが。でも…でも、私は、先輩のことが大好きだから、少しでも力になりたい、そう思って…グスン…ヒック…」  美琴は、それまで胸の奥にしまい込んでいた感情を、ここぞとばかりに俺にぶつけているようだった。  俺は、美琴を抱き寄せ、右手で頭を撫でた。 「…美琴。もう泣かなくていい。それに、ゴメンな。お前の気持ちに気付いてやれなくて…」  その言葉に、美琴も俺の背中に腕を回し、俺を抱きしめた。 「先輩と、こんな風にするのを夢見てました…」 「これからは、ずっとこうしていられるんだ。美琴…」 「先輩…」  二人の間を、秋の深さを象徴するかの如く黄色く染まった幾枚もの銀杏の葉が、秋風と共に通り抜ける。  そして、そんな二人を祝福するかのように、夜の帳が降り始めた西の空で、一番星が瞬いているのだった。
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