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「そうであるならば、我らの目的、この散逸する宇宙の熱的死から救い、我々が神の御許へと回帰し、再び一つとなる」
「拒む理由……そんなものは存在しないはずだが」
「尤も……拒む事なんて許されないがね」
再び、波動が彼らを通り過ぎる。
それと同時に、アビスシードを取り除けなかった人間たちが次々に暴徒と化し、肉体は変異する。
今まで、暴徒となりえなかった人間たちも、次々とその変異を抑えきれなくなり、暴徒と化していく。
「嫌、だ……」「怖い……、怖いぃぃ!」「これは……誰?」
再び波動が散逸する。それと同時に目を覆いたくなるかのような光景が目の前に広がる。沢山の悲鳴と恐怖の合奏曲だ。
肉の塊が目の前の機体に集合し、融合していく。
終わったときに、目の前にいたのは肉と機械が歪に融合したものだった。薄気味の悪い肉の塊の間から、機械の骨格が無骨に飛び出している。僅かに見方を変えれば、まるで前衛的な芸術品かのようでさえもある。しかしその肉の塊は不規則に、まるで呼吸をするかのように、同一である事を拒むかのように、脈動していた。
それは生物なのか、それとも機械なのか。果たしてそれは誰にもわからない。
貴方たちにわかることはたった一つだけ。これは奈落獣ですらない。何かであるという事だけだ。
「くひひぅふおうふおうはははは!」
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