叫べ!

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朝食の後、荷物をまとめて車に積み込んだ。 話がしたいとソワソワする俺とは対照的に、恵人は静かに待っていた。 「やっぱりダメとか、言わないよね? なんか…緊張してきた。タケシ…ちょっとだけでいいからさ、手握って。」 居間に入る直前、恵人は立ち止まると両手を差し出した。 天井に向かう手のひらを俺に向くように持ち上げて、手のひらを重ね、ひとつひとつ、指を絡めてキュッと握った。 「そんな事言われたら…強引に行く…しかないだろ? だって、俺、お前と離れられないし。 姉ちゃんの子供にだって会いたい。 どっちも手離せないんだよ! それに…親父はそう簡単に意見は曲げないよ。そんなのは、お前だって知ってるだろ?」 俺が言うと、恵人の顔が緩んだ。「そうだった…。」柔らかい笑顔を俺に向け、「だからこんなに頑張ってたんだった!行こうか?」と繋いだ手をするりと外して繋ぎ直すと、俺の手を引いて居間に入って行った。 手を繋ぐ俺達の姿を親父に見せるのは、今日が初めてか? 俺達の手に視線を突き刺したまま、親父は固まっていた。 恵人はお構いなしに、宣言した。
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