174人が本棚に入れています
本棚に追加
「お早うございます。」
「お早う。」
揃って台所に顔を出した。
泣き腫らした目の恵人を見て、母さんは笑いを堪えながら、濡れタオルに氷を挟んで渡した。
「また…随分と…。
本当に…素直というか…隠し事は出来ないタイプね。」
母さんの声に反応して、親父は新聞から視線を上げ、すぐにまた新聞に視線を戻した。
「お父さん、後で少し話がしたいんですけど、時間大丈夫ですか?」
「ああ、そうだな…。
朝食の後で良いか?」
「はい。」「ああ。」
いよいよだ。ずっと、ずっと望んでいた恵人との暮らしが、目の前にある。
興奮が抑えきれない、顔が緩んで仕方ない。
抱き付いて、キスがしたい…。
思わず熱い視線を恵人に向けて、ハッとした。
ここは、実家だ…。
最初のコメントを投稿しよう!