【1】 超進学校生徒の悩み

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    *    担任からの簡単な連絡も終わり、やっと放課後になった。  放課後の教室は、野郎共の溜まり場。  飲み物や菓子を持ち寄って、長々と馬鹿話をする。  今日はテスト最終日ということもあって、かなり多くの奴が教室に残った。    「なあー」  こういう他愛のない会話は、まず誰かのため息から始まる。 「彼女欲しいよなー……」  そして、同じ言葉が重なる。 「欲しい欲しい!」  高2の男子には珍しいことだが、この学校の生徒には、恋愛経験がまったくと言っていい程なかった。  小学校からのエスカレーター式であるこの学校は金持ちのボンボンが多い。そういう奴の親は大抵、自分の息子にエリート狙いの「雌」が寄ってくるのを嫌っている。だから、この学校は小学校からずっと男子校なのだ。  そんな環境の中で女をつくるのは、共学で女を作るよりも遥かに難しい。  いや、それでもここが普通の男子校なら、合コンに行くとか、他の学校の友人に女を紹介してもらうとか、色々工夫もできただろう。  だが、常に勉強を強いられ、監視され続けているここの生徒達が、そんなことをできるわけもなかった。     
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