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ここまで切実に女を望んでいる青少年にそれを叶えさせないこの学校は、ある意味スゴイと思う。
「やっぱりさぁ…まず、キスだよなー」
「……随分乙女なことを言うんだな。お前ら」
思わず呟くと、冗談めいた嫉妬の目線が向けられた。
他の奴と同じく小学校からずっとこの学校に閉じこめられてきた俺だったが、一応、恋愛経験はあった。
なにしろ、参考書を買いに街に出ていくだけで声をかけられていたものだから、「たまにはつき合わないと失礼かなー」という変な理由で、5回声をかけられるごとに1度つき合う―――と、やっていたら結構な数になってしまった。(10回に1度程度にしとけばよかったのか?)
でもまあ、それも中学生までの話で、それが親や学校にバレてからは、女には会ってもいない。野郎しか見なくなってからもう2年経つ。
「ケーッ! 拓馬はいいんだよ。お前、モテるんだから。問題は俺達ー…」
「想像しか出来ないんだから、こんな思考に陥ったってしょうがないだろー?」
皆、ほとんど同じタイミングでため息をつく。
「……もうさー、俺、男でもいい…」
その中の一人が呟いた言葉で、飲んでいた缶コーヒーを危うく吹き出しそうになる。
「マジかよー!! 俺は絶対ダメ! そんなの気持ち悪いって!
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