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個別指導は大変だ その弐
死神訓練場に出るとお誂え向きに一番手前のブースで直樹が訓練をしていた。
その奥には疾風のシロが三匹の死神動物を鍛えている。どう見ても遊んでいるようにしか見えないが、きっとコミュニケーションの一環だろうと微笑ましく思いながら暫し眺めた。それぞれの飼い主も来ていて、ほんわかとする和やかな動物たちに癒されているようだ。
「直樹、待たせたな。どうだ、ヘヴィーの具合は」
直樹は浮かぶ的を起用にそして規則正しく沈めながら振り返りオレを見た。
「功太さんっ! 今からいきなりですかっ?!」
直樹は心の準備ができていないようで慌てたようだ。
「なんだ、都合が悪いのか? オレの訓練はいつもいきなりだ」
「いいえっ! よろしくお願いしますっ!」
直樹の大声に動物たちとその飼い主も気付いたようでこちらに来ようとしたがオレは掌を向けてそれを制した。疾風のシロがオレの合図をみんなに説明して、じゃれあう訓練を再開したようだ。
「さて、重力か… 足止めには最適だが、そのことについては教えることは何もなさそうだな。よってヘヴィーを一気に強くすることにした。もちろん、お前とヘヴィーの同意の上で、だがな」
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