個別指導は大変だ その弐

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 オレは呆れたが、ただそれだけだった。悪魔のこういったお楽しみまで取り上げる趣味はオレにはない。オレと悦子は食堂に歩を進めようとした。だがカノンはまだオレに話がありそうだ。どうやら、デヴィラから解放して欲しいというような顔ではなかった。 「カノン、言いたい事があったらはっきりと言え! それが大人というものだ」 「協調! して欲しいのっ! 私も、体験したいからっ!」  カノンはいきなりはっきりとオレに向かって言い放った。その呼吸が荒い。どうやら興奮し始めたようだ。 「それは訓練の一環としてやってやろう。だからもう少し待て」 「嫌よっ! 今朝、デヴィラさんとはやったじゃないっ!」  はっきりとものを言っているがこれは違うとオレは思い言い放った。 「あれはそういった儀式だ。その程度のことは知っているだろ? そしてそれはただの子供のわがままだっ!」  オレが言うとカノンは少し剥れたが、無理やり笑顔を作った。デヴィラがクスクスと笑い始めた。そのデヴィラの頭に上にオレは右掌を乗せた。 「お前が一番子供だからな、自重しろよ」  デヴィラはわかっていたのか、悪魔らしくそっぽを向いた。今度はカノンがクスクスと笑い始めた。
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