個別指導は大変だ その弐

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 悦子がオレには言わず、ニャデュラに詰め寄って見下ろしながら言った。まるで巨人と小人だった。 「功太さんは私と行くのです。悦子さんは遠慮してください」 「私も行こうかしら。いいわよね」  友梨の言葉は穏やかだがニャデュラを睨む眼は本気で怖かった。そろそろ悪魔の聖域への扉が出るのではと思ったがその気配はない。だがコウが恍惚となった。きっと雰囲気酔いだろうなとオレは思った。 「…ああ… そんなぁ…」  ニャデュラは気が強いのか弱いのか良くわからない女だった。 「どうするんだ? ふたりもついてくるらしいな。オレは別に構わないがな」  オレは三人に一斉に睨まれた。 「功太さん、やり過ぎよ。ここでは殺伐なお話は控えて。子供たちに悪影響だわ…」  順番待ちの長いカミラが呆れたようにオレに言った。子供たちはハラハラしながらも祈りを捧げていた。ゴンタとゼウスまでもが祈っていた。この状況は始めて見た。それとは対照的に、リノは悪魔が出掛かっていた。 「では食後に友梨の部屋でデート会議だ。時間は明日から夕方の4時から2時間。オレはここで子供たちと飯を喰いたいからな。参加希望者は友梨の部屋に来て欲しい」  これだとことが早々に済む。オレとしては不本意だが、睨み合っているだけでは何も解決しないのでこれでいいだろうと感じた。     
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