個別指導は大変だ その弐

6/161
前へ
/2912ページ
次へ
「すまん、邪魔をしたな。これには集中力が必要だからな、今から話さなくてもいいから思い描いたイメージを少しずつ、そして小さなものを作ってみろ。それを的に向かって放て。それが出来たら、今度は重力と掛け合わせて土魔法を凝縮しろ。かなり硬い弾が飛び出すはずだ。ここまで完璧にこなせたら直樹の上位は決定だな。イメージングが完璧になれば、蓮をも上回れるかもな」  直樹は直立のまま動かなくなった。悦子は何をやっているのかよくわからないが、身振り手振りで表現しているようだ。きっと無意識だろうが、こういった詰まらないとヒトが思うことが突破口の入り口だったりする場合もあるのだ。オレは面白おかしくふたりを見ていた。    やはりまずは悦子が動いた。いきなり双尖の槍を取り出し、オレに投げつけてきた。悦子はオレを殺そうとでも思ったのだろうか、と一瞬考えた。その槍をコウが宙で止めた。 「エッちゃん、オレは的か?」  悦子は眼を見開き、そしてオレとコウに平謝りに謝った。オレは槍を手に取った。 「だがこの槍、凄いな… 石以上に硬そうだ。それに、なんだこの重さは…」  細く長いのだが、とんでもない重量だと感じた。 「うん、きっと、今までで一番硬いと思う。金属に近いかも…」 「そうだな、だが脆いな」  オレが槍先を床に軽く置くと簡単に先が折れた。     
/2912ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加