月光 参

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「上陸―!」  大きく一歩を踏み出して、フェリーのターミナルから降り立つなっちゃん。私たちもそれに続く。島に降り立つと、すぐに住んでいる鹿たちがお出迎えをしてくれる。 「鹿ー! 子供がいる可愛い!」 「どれどれ、本当だ、ちっさいなぁ」 「写真撮ってやるよーみんな並んで」  健ちゃんがスマホを構えてくれるので、私たちは記念撮影。   「今度は私が撮るよ、健ちゃん代わろう!」  今度は私がスマホを持ってみんなの写真を撮る。みんなすごくいい笑顔で写っている。心晴もなっちゃんも写真に撮られなれていて、ポーズも笑顔も素敵だ。さっきの私はちゃんと笑えていたかな? 「なぎさ、健ちゃん、後で送ってー」 「おっけー、グループトークで共有しとくね」 「このまま歩いてったら神社になるんだっけか?」 「そうそう、人の流れに沿っていけば大丈夫」  花火があるからだろう、もともと観光客が多いけれど、普段以上に人がいる。なかには浴衣を着てきている人もいてすごく綺麗。 「あーやっぱいいよねぇ! 来年は浴衣で来ようよー」  私の心の声を聞いていたように、心晴がそんなことを言ったから、私もうんうんと首を縦に振る。 「でも、浴衣なんか持ってたっけなぁ」 「あるって、探してみなよ~。なかったらうちのお母さんの借りてくるから」 「なかったらお願いする~」  浴衣なんかあったかな? 探してみよう。来年が楽しみだ! また、五人で来られたらいいなぁ。  
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