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花火の日から数日後、夏休み最後の日、心晴から連絡が来た。
【今日、会える?】
なんの絵文字もついていなくて、なんとなく心晴らしくない弱々しいメッセージに、私は間髪いれず――
【もちろん!】
と、返信した。
正直、今日は学校に行って40号キャンバスに手をつけたかったのだけれど、それは自分の都合。
心晴の方が大事だ。
私たちはすぐに約束を取り交わして、本通りのドトールで会うことにした。
「急にごめん、なぎさ」
あんまり眠れていないのか、目元にクマを作っているし、いつもの元気がない。
私はたまらなくなって心晴に駆け寄る。
「取り敢えず座って落ち着こう」
今日は珍しく私の方が力強い。アイスカフェオレを二つ頼むと、奥の方にあるカウンターに寄り添って座った。
ここなら、込み入った話をしても他の人に聞かれにくいと思う。私は心晴の顔が他の人から見えないように背中で庇いながら座る。
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