日陰 参

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 花火の日から数日後、夏休み最後の日、心晴から連絡が来た。 【今日、会える?】  なんの絵文字もついていなくて、なんとなく心晴らしくない弱々しいメッセージに、私は間髪いれず―― 【もちろん!】 と、返信した。  正直、今日は学校に行って40号キャンバスに手をつけたかったのだけれど、それは自分の都合。  心晴の方が大事だ。  私たちはすぐに約束を取り交わして、本通りのドトールで会うことにした。 「急にごめん、なぎさ」  あんまり眠れていないのか、目元にクマを作っているし、いつもの元気がない。  私はたまらなくなって心晴に駆け寄る。 「取り敢えず座って落ち着こう」  今日は珍しく私の方が力強い。アイスカフェオレを二つ頼むと、奥の方にあるカウンターに寄り添って座った。  ここなら、込み入った話をしても他の人に聞かれにくいと思う。私は心晴の顔が他の人から見えないように背中で庇いながら座る。
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