落日 壱

2/23
前へ
/344ページ
次へ
 危惧していた二学期は始まってみるとあっさり過ぎてく。  なっちゃんは嬉しそうに先輩との話をしてくれて微笑ましいし、心晴はすっかり元気を取り戻したし。  健ちゃんと燈也君もいつも通り――。  何より、これから迎える体育祭のことで忙しいのです!  うちの学校の体育祭は各学年クラス対抗で様々な競技を行い、点数を競うもの。    三年生は受験に向けて勉強を始めるので、実質私たち二年生が中心になって執り行うことになる。  学級委員の子が競技の参加者を決めていくのだけれど、挙手性にするとなかなか決まらないから、これも去年よろしく山本式のくじ引き形式。重要なリレーの選手だけはスポーツテストの結果から選出するんだけど、足の遅い私は論外。  次々に周ってくるくじを引いてい行く。私が当たったのは―― 【借り物競争】 【障害物競走】  可もなく不可もなく――。 「当日、保健委員のやつは当番で救護テントに待機しろよー」  なんて山本先生の声がして、私ははっとした。そうそう、この度わたくし、保健委員になっておりました。 「体育祭のある二学期に保健委員になるなんてついてないなぁ。なんか山本先生に仕掛けられてるんじゃない?」  なんて、始業式の日の約委員決めの時に、心晴が真剣に言ってくるからなんだかおかしくなって笑ってしまった。心晴は二学期、図書委員になっていたっけ……図書委員は割と人気があるから立候補で決まるかと思ったんだけど、このクラスではやりたい子がいないみたい。  くじ引きで当たった心晴が、当番の日は居残りじゃん! って言って嘆いていたっけ。
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!

635人が本棚に入れています
本棚に追加