落日 壱

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「あ、燈也と健ちゃん! 二人ともリレーの選手でしょう?」  放課後、廊下を通りかかった健ちゃんと燈也君を見つけた心晴が声をかける。すると二人は二組の教室に入ってきた。 「そうそう、俺らは三つも出なきゃいけないんだよなぁ。うちのアンカー燈也で決まりだろうなぁ」 「健ちゃんと燈也君がいたらうちのクラスは勝てないねぇ」  なんて話していると、私と一緒に部活に行く予定のなっちゃんもやってくる。 「競技何出るか決まったー? 私、百足(むかで)競争と借り物競争」 「借り物なぎさと一緒じゃん!」 「やったー! 心晴は?」 「私、玉入れと台風の目。玉入れ嫌だなぁ、あれめっちゃ走らないといけないじゃん?」 「かご持って走るの先生でしょ? 遅いじゃん」  この学校の玉入れは少し変わっていて、かごは先生がリュックのように背負って走って逃げるのだ。生徒たちはそれを追いかけながら玉を入れないといけない。  私は去年玉入れ引いちゃって、すごく疲れたんだよね。でも、走り続ける先生たちの方が大変そう。山本先生、すごく早いんだよね。
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