落日 壱

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 体育祭は九月の第二土曜日にあるから、文化祭ほど準備期間も長くなくて、各競技の練習を一、二回やったらもう当日が来てしまう。  でも、各クラスの勝敗を大きく左右するリレーの練習は放課後に結構するみたいで、私も心晴やなっちゃんと一緒に、教室の窓から走る燈也君と健ちゃんを眺めては歓声を上げていた。  選手に選ばれるだけあって、みんなすごく早いのだけれど、燈也君は群を抜いている。背が高くて、足が長いからかな? とにかくストロークが長くて、フォームも綺麗。  やっぱりアンカーを任されていて、ぐんぐん他のクラスを抜いて行っちゃうの。うちのクラスは完全に置いてけぼり、なっちゃんのクラスのアンカーの人と、燈也君がすごい接戦で、どっちが一位になるかって、見ていてはらはらする。 「燈也やっぱり格好いいなぁ」  なんてうっとりとグラウンドを見つめる心晴に、私はだよね、と笑う。恋する女の子はとっても可愛い。  心晴は、体育祭の日に燈也君に告白するっていていた。その日が、どんどん近づいてくる。  ねぇ私、祝福する準備は大丈夫――? 大丈夫、だよね?
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