落日 壱

12/23
624人が本棚に入れています
本棚に追加
/344ページ
「そういえばね、ここだけの話しなんだけど……」  お父さんお母さんをそっちのけで、私たち三人は頭を突き合わせてこそこそと話し始める。ないしょで話したいことがあるのは心晴。 「チア部の子が燈也に告白して振られたって……」 「えー! マジ!?」 「本人から聞いたわけじゃないけど、軟テにチア部と兼部の子がいて、そんなこと言ってた」 「燈也君モテるなぁ」  心晴は軽い調子で燈也君の話を教えてくれたけれど、内心、部活の子に聞いた時はすごくドキドキしてたんじゃないかな、振ってよかったって、思ってると思う。  だって、私もそう思ってるから――。心晴はきっと私以上に、燈也君のことが好きだから……。すごく、苦しくなったんじゃないかな?
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!