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その後あった障害物競走は、頭がぼうっとしていたのか、ネットからなかなか出られず、平均台はよろよろで、小麦粉の中のマシュマロ探しに奮闘し――とにかく散々だった。
「あはは、なぎさ、ごめん、笑っちゃいけないんだけどさ……かなり可愛かったよ」
「それ全然褒めてないし」
「まぁまぁ顔洗いに行きなよ、ふふふ、真っ白」
競技を終えた私を、心晴が出迎えてくれたんだけど、もう、今にも吹き出しそうな顔をしているの、ちょっと酷くなぁい?
「なぎさって本当に期待を裏切らないんだから、もう、ふふふ」
顔を洗い終えた私に、笑いながらタオルを手渡してくれる心晴。
「もう、そんなに笑うことないでしょう!」
「そうよね、なんだかいつもよりも鈍くさかったもんね……なぎさ、何かあった?」
私の顔をぐっと覗き込みながら、心晴はそんな鋭いことを言うのだ。はぁ、長い付き合いだもんね、互いの微妙な変化とか、気が付いちゃうよね。でも、そこに燈也君が絡んでいるだなんて、心晴には絶対に知られてはいけない。
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