落日 壱

19/23
前へ
/344ページ
次へ
「さっきうちのクラスの子が心晴に告白したいって言ってたから、私、勝手に断っちゃってさ、悪いことしたなーって思ってたらあんな結果に」 「うっそ! 誰!? 気になる!!!」 「教えなーい」 「意地悪! いいでしょう、減らないじゃん!」 「機密事項」 「機密ならそんなちょこっと漏らすことしないでぇ」  ごめん山野君、本当に、ごめんなさい。名前は絶対に明かさないから、さっきの話を使わせて!  私は心の中で、同じクラスの山野君に謝罪をする。 「ほら、心晴は燈也君のことだけ考えてればいいんだよー」  なんて、言葉にするとズキンと痛みを伴う。でも――心晴がかぁっと顔を赤らめて、すごく幸せそうな顔をするから……  どうか、早く消えて、私の恋心――そう、祈るしかない。
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!

636人が本棚に入れています
本棚に追加