落日 壱

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「あ!」  心晴が悲鳴のような声を上げた。一組の二番走者の子がこけてバトンを大きく転がしてしまった。他の組がどんどん抜いていく――。  あっという間に、一組は五位になった。ここから、巻き返すのはかなり厳しいかもしれない。  そう思うと、心がすっと軽くなるのと、ちょっと切なくなるのと――相反する気持ちが心の中に生まれて、どうしたらいいのかわからない。  そうこう考えているうちに、バトンはどんどんわたって、一位の子と半周くらい遅れて健ちゃんが最下位でバトンを受け取る。 「健ちゃん頑張れー!!!」  私たち三人は大きなエールを贈る。すると、足の速い健ちゃんはどんどん追いついて、二人も抜いた。今、三位だ!  でも、もう一位のクラスはアンカーにバトンが渡っている。  健ちゃんがバトンを渡すアンカーは、燈也君。
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