落日 弐

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 街灯の少ない道のりは、はやり一人では心細い。隣を歩く健ちゃんの存在が、すごく心強かった。  道すがら、私たちは受験生らしく、勉強の話をしながら歩く。  健ちゃんは私立の文系を志望していた。私よりもずっと成績がいいのに、どうして国立を狙わないのかって聞いたら―― 「受験が早く終わるだろ? 自由な時間が増える」  なんて言って笑った。こんな時間まで一生懸命頑張っている健ちゃんなら、絶対に合格すると思う。 「なぎさも大丈夫だよ、難関だけど、きっと受かる。一緒に頑張ろうな」  爽やかな健ちゃんの笑顔にすっかり癒されたよ、ありがとう健ちゃん。  明るい話題ばかりを振ってくれる健ちゃんと話しながらこうやって、燈也君とも一緒に帰ったことがあるなぁなんて、ついつい思い出してしまう。  こらこら私、女々しいにもほどがあります。 「ねぇ、なぎさ、今年のクリスマス、予定ある?」  おっと、唐突に話題がとびましたよ! 今まで昨日息抜きで見たバラエティ番組の話しだったよね? クリスマスなんて、まだ先の話だ――
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