朝日 肆

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 心晴と連れ立って、ホテルの入り口に掲示されている案内を確認し、会場に入って行く。  昨年、先輩と結婚したなっちゃんは、女の子を出産したばかりで来られなかった。  なっちゃんの結婚式には呼ばれていたのだけれど、インフルエンザに罹ってしまって参加できず……地元に残った心晴とも、成人式以来の実に八年ぶりの再会となってしまった。  なっちゃんに会いに行きたいのだけれど、私は明日には戻らなくてはいけないので、次にゆっくり帰ってこられる年末に、一緒に会いに行こうと心晴と約束した。 「久しぶり!」 「元気だった?」  会場には、すでにたくさんの人たちが来ていて、懐かしい顔ぶれと声を交わす。  十年という歳月は、みんなをとても綺麗にしていた。高校生──少しだけ背伸びをしていた友人たちは、すっかり大人の女性になっていた。  男の子も、ひげをしっかり生やしていたり、お腹が二回り大きくなっていたり……おでこが広くなっちゃってたり、てっぺんが涼しくなっちゃってたり……  その一方で年を取って、より格好良くなっている子もいた。  私は意識してつま先立ちをしながら、きょろきょろとあたりを見回すけれど──彼の姿はない。 「なぎさ、心晴、久しぶり!」  聞き覚えのある爽やかな声に振りむくと── 「健ちゃん!」  すっかり爽やかな青年に成長した、健ちゃんがいた。健ちゃんは後者の格好よくなったタイプみたい。  成人式に会って以来だから、八年ぶり──健ちゃんは素敵な男性に成長していた。
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