月光 壱

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 構内の桜は咲きほころんで、とても綺麗だ。はらはらと散る様は、まるで映画のワンシーンのようで、時間がゆっくり進んでいるように感じる。  煉瓦風なつくりのオシャレな洋風の校舎に見とれながら歩いていると―― どんっ  予期せず体に衝撃が起こる。 「おはよう、なぎさ! 掲示板見た!?」  私にぎゅっと抱きついてきたのは、中学校からの大親友、石川心晴(いしかわ こはる)ちゃん。  引っ込み思案な私に対して、心晴はすごくエネルギッシュ!  いつも私を引っ張ってくれる、なんだかお姉ちゃんみたいな存在だ。 「まだ、見てないよぉ、クラス、気になるなぁ」 「一緒に見に行こう! 私たち、絶対一緒だからさぁ!」 「5クラスもあるんだからそんなこと言い切れないよ~」  ついついネガティブになりがちな私に対して、いつもポジティブな心晴。そんな明るい心晴に助けられた回数は数えきれないと思う。  なにより、勉強の進みが悪い私を、心晴は何度も助けてくれた。  心晴がいなかったら、私は第二志望の学校に通うことになっていたかもしれない。  心晴様、本当に感謝しておりまする。
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