月光 参

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 さて、謹んで開けましょう―― 「せーの!」  みんなでひいたおみくじをぱっと開いて見る。私は―― 「やった! 吉 これって良い方だよね!」  喜ぶ心晴。 「あー俺凶だー! まじかぁ」  嘆く健ちゃん。 「俺も吉、なんか中途半端だな」  通常運転の燈也君。 「燈也、私と一緒!」  心晴、ますます嬉しそう。 「私も凶だ……引きなおそっかなぁ」  あはは、なっちゃんらしい。 「おいおい奈緒、おみくじってそう言うもんじゃないだろー」 「なぎさは?」  吉を引いた心晴が私のおみくじを覗き込んでくる。 「ん? ――たいら?」 「そう、平。これって、いいの? 悪いの? 初めて見たー」 「いいんじゃない? 穏やかそうじゃん、なぎさっぽい」  なんだか微妙な結果だ。誰が一番いいのか判断が付かないので、奢る話はななくなってしまって、神社を出ると各々買ったあげもみじを頬張りながら散策をする。  あげももみじというのは棒を刺したもみじ饅頭に衣をつけて、言葉通り揚げたお菓子。これ、とっても美味しいの! 「俺初めて食べたかも」 「まじか、前からあったろ」 「やっぱりクリームが一番美味しい~」 「えーこしあんだよ、ねぇなぎさ」 「私は断然チョコレート!」 「出た! お子様!」 「お子様じゃない! チョココロネみたいで美味しいじゃん!」  チョココロネ、大好き。クロワッサンはもっと好き。こうやってわいわいみんなで食べるおやつは、もっともっと大好き!
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