日陰 壱

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「おーい、炊けたよー。カレーどう?」  健ちゃんがライスクッカーというらしいご飯を炊く用のお鍋を持ちながらこっちに声をかけに来てくれたので、心晴が大きな声でばっちりーと返している。 「あーめっちゃいい匂いしてるじゃん、燈也もこっちこいよー」 「火ぃしっかり消したら行く」  火の後始末をしてくれる燈也君を待っている間に、私たちはご飯の準備! といっても、お皿にご飯とカレーを盛り付けるだけなんだけど。  健ちゃんたちが炊いてくれたご飯はすごくふっくらとしていてめっちゃ美味しそう! あつあつのカレールーをかけたら完璧です!  お待たせーとやってきた燈也君と一緒に、みんなで合掌、せーの、いただきます! 「うわ! めっちゃ美味しい、ご飯完璧」  なっちゃんが目を輝かせながらそう言う、私もまったく同意見です! 「なんか炊飯器で炊いたよりも美味しいきがする~」 「そりゃそうだろ、俺と燈也が炊いたから」 「なにそれ! でも本当に美味しい。カレーも美味しい?」  気になることを尋ねる心晴。うん、私はめっちゃ美味しいと思うけど、これってただの自画自賛? バイアスかかってる? ドキドキしながら男子二人の意見を待ちますが―― 「めっちゃ旨い、辛さちょうどいい!」 「うん、悪くない」  良かった! どうやら合格のようです。でも、ほら、こんな素敵な景色を見ながらのご飯がおいしくないわけないよね。  ざざっと聞こえる優しい波の音、太陽の熱は暑いけど、吹き抜ける風は心地よく頬を撫でてくれる。
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