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ピストルの音と共に、前の列に並んでいる子がどんどん走っていく。机の上の箱から紙切れを取り出して、紙を開くと、弾かれたビー玉みたいに散り散りになっていく。いったい、どんな内容が書かれているんだろうって思うけれど、みんな先生とか、生徒を連れて駆けて行っているから、借り物というよりは「借り者」競争みたい。……あれ、そういえばパンフレットには「狩り者競争」って書いてあったかも、シュールなネーミングセンスだ。
前の子たちがどんどんいなくなって、ついに私の番がやってくる。ぱーんと鳴り響く音に一瞬ひるんでから、私は周りの子たちからワンテンポ遅れて駆けだした。
机の上の箱から取り出した紙には――
【名前があから始まる人】
「あ？」
おっと！ お題を口に出したらいけないんだっけ？ あーあー……あーりん！？ あーりんどこ！？
ときょろきょろとしたところで、クラスのテントで友達とふざけ合っている健ちゃんを発見した。
そうだ！ 健ちゃんは有田健太郎ではないか！
そう、健ちゃんの名前を思い出した私は一目散に健ちゃんのもとへ――
「健ちゃん！ 一緒に来て！」
そう言って無理やり健ちゃんの腕を引っ張ってゴールに向かった。順位は三位、私にしては大健闘じゃない！？
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