朝日 弐

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 そうそう、この前後輩三人とご飯と食べにいったときにもそんな話になったっけ……  私の会社、大きな会社じゃないから、人数は割とカッツカツで、独立していく人も多いから、社員の年齢も若い。私はすでに局ポジションになりかけています。 「なぎさ先輩はまだ結婚しないんですかぁ?」  二個下の女の子がほろよい状態でそんなことを聞いてくる。ちょっと、年上の女性にその話題は禁句なのでは……最近の若い子は言葉のナイフを容赦なく投げてきますな。 「独身彼氏なし、募集もしていません」 「えぇ! どうしてですかぁ」 「いや、どうといわれても……」  まだ初恋を引きずっているなどとは口が裂けても言えない。 「なぎさ先輩、ポテンシャルは高めなのに、地味なんですよぉ。社会に出たら出会いなんて限られてるんですから、もっと自分をがんがんアピールしていかないとぉ」 「おい、酔ってるだろおまえ、そろそろやめとけ」  なんてもう一人の後輩君が女の子の方をなだめている。局は知っておるよ、君たち二人がちゃっかりお付き合いしていることを。  私、地味かなぁ……なんてビールを飲みながら少し考えてみるけれど、確かに地味だ。格好はいつもパンツスーツ、化粧も知的女子を目指しているので華やかではない。   だって、女だからってなめられたくないんだもん。いけませんかね?
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