月華 壱

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「イルミネーション、今年も綺麗だなぁ、なぎさ、反対側にも行ってみようか」  そう言って健ちゃんが手を引いてくれる、その衝撃で、私は我に返った。  そうだ、せっかくの息抜きなんだから、イルミネーションを楽しまなきゃ。 「健ちゃん、ありがとう」 「何が?」 「誘ってくれて、そうじゃなかったら今頃家で鬱々と過ごすところだったよ~。受験生は積極的に外に遊びに行かないと、干物になっちゃうよね」 「なんだよ急に」  そう言っていつもの様に爽やかに笑う健ちゃん、本当に優しい。  このまま、好きになりたい。健ちゃんになら、片想いをしていても許される気がするを  でも、やっぱり違うの。燈也君に対する気持ちとは、違う。  健ちゃんを好きな気持ちは、私が心晴やなっちゃんを好きだと思う気持ちに似ている。 「ねぇ、なぎさ」  健ちゃんが急に立ち止まった。握られた手に、ほんの少しだけ力が込められたみたい。 「俺、なぎさに言いたいことがあるんだけど」
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