第一話  雨のち晴れ!★やがて曇って、また雨

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 「東京地検に、冬木(ふゆき)って女の検事が居るらしいんだがな。その女を思う存分、輪姦してくれって頼まれちまったのよ」  そいつは横浜の顔役の極道で、凶暴な事で知られている男だ。  男は美代子の、身体は許しても心は許さないキツサに惚れている。 (もっとも美代子はボディガード代わりに、このパトロンを便利に使っているだけなのだが)  その男に抱かれていた美代子だが、驚いて大事な場面で動きが止まった。  でも直ぐに気を取り直すと、抱き寄せる男にすり寄って甘えて見せたのだが。(もっと詳しいところを聞き出さねばならない。ここは丁寧なお仕事が求められる正念場だ)ちょっと気を入れ直すと、今度は男が陥落するまで閨技を繰り出した。男は陥落!すかさず聞き出したところでは・・  如何やらそれは、冬木検事に息子の事件を有罪に持ち込まれ、逆怨みした大金持ちの爺さんに頼まれた強姦らしい。  ・・その事件とは・・  【爺さんの一人息子が、通いの家政婦の娘でまだ女子高生の少女を拉致監禁し、強姦しようとした。だが、娘に抵抗された挙句に、脅しに使っていた自分のナイフで刺された】・・そう言う事らしい。  金にモノを言わせて遣り手の弁護士団を雇い、拉致監禁・強姦未遂事件を、娘が起こした傷害事件に摩り替え様と画策した。(かなりあくどい遣り口だ)  だが担当検事が、冬木香澄なのが大層に拙かった。  冬木検事は、爺さんの目論みを全てひっくり返した。 *・・息子には実刑判決がくだり、娘は過剰防衛で済んだのだ・・*  腹腸が煮えくり返ったが、マスコミの報道に追い込まれて、控訴を断念せざるを得ない所に陥った。  「それでな、俺にその女検事を辱めてくれってのよ」  「なぁに。検事様なんて言ったって、そこはただの女だ。ベッドの上で組の者に一晩中可愛がらせて、アダルトビデオにでもすれば爺さんも喜ぶさ」  「何ならその映画を、ネットで流すのも面白い」、等と言いながら、考えただけで興奮すると言って男がまた抱き付いてきた。  美代子は仕方なく適当にあやして、遊んで遣った。
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