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そんな日が、早く来たらいいなぁって思いながら、翔ちゃんの手に自分の手を滑り込ませた。
情けないことに、私に出来るのはまだこれくらいが限界。
バレンタインデーが2月でよかった。
寒い時期でよかった。
頬を切るような北風が、勇気をくれるから。
「寄り道してこー」
「うん!どこ行こっか」
「ふたりでひたすら遠回り」
「それいくらでもしたい!」
ちょっとでも長く一緒にいたいって、翔ちゃんも思ってくれてるのかな。
「そんなこと言われると帰したくなくなっちゃうじゃん。ホワイトデー覚悟しとけよ?」
「覚悟って何?」
「遠回りだけじゃすまないよ?」
「えっそれはあの、あのぅぅ……!」
しどろもどろになりすぎて思いっきり舌かんだ。
「痛いぃ、痛いよぉー」
涙目の私を見下ろして翔ちゃんはお腹を抱えて笑ってる。
「やめて、それもう最近いとおしいからさ」
「うそ!デレちゃうどーしよ。デレ顔すごいブスなのに!」
「今更?そんなこととっくに知ってるって」
「やだ!忘れて、おねがい!」
そんなふざけたやりとりで笑いあって、自分はちゃんと翔ちゃんの彼女なんだって、じんわり実感した。
チョコレート、潰れちゃったけどちゃんと渡せてよかった。
来年も彼にとっての本命チョコを渡せますように。
end。
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