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 さっき彼がしたように、唇をつけたまま答えた。それだけ言うと、背中に回した腕で身体を支えながら彼をベッドへ倒し、ダブついたTシャツの中へ手を滑り込ませて脱がせた。昼間に飲んだカプチーノの表面のミルクのような色をした彼の肌に、いくつもの赤い痕を残すように強く唇を押しつける。鎖骨と鎖骨の間の窪みや、喉仏のあたり、首筋、耳たぶ。その裏。乳首の先端を親指で擦ると、「……ぁ、ん」と声を上げ、そこから灼けるように徐々に熱が広がっていくのがわかる。人差し指と中指ではじく。親指で擦る。口に含んで、キャンディーを舐めるように舌で転がす。どんどん甘くなっていく声も唇も全部飲み込んでしまいたくて、開いた唇のその奥へ舌を滑り込ませ、かき混ぜる。 「もう少し、脚、開いてみて」 「……じゃあ、貴方が開かせて」  とろり、と果汁が滴りそうなぐらいに熟れた瞳と声。薄くて硬い筋肉のついたしなやかな太腿の内側に唇をつけ、何度も痕をつけるように吸い付くと、気持ちがいいのか身体を捩るようにして艶かしい声で啼いてくれる。 「ねぇ。可愛い、って言われるのは、イヤ?」 「やめて、それだけは……」 「こんなに可愛いのに」  口の中で彼を放出させて、その後に彼の望み通り、奥へ奥へと突き上げた。抱かれるのに慣れた体をしているのに、それには不似合いなぐらいのあどけない仕草を時折見せる。けど、それを指摘されるのはイヤなんだ。 「後ろからも挿れても、いい? かな」 「……」  彼が何か言ったような気がしたけど聞こえなくて、でも唇の端っこが頬に向かってカーブしていたから、OKということなんだろう。俺も彼も、さっきからずっと呼吸が乱れたまま一向に整う気配がない。けど、汗ばんだ体と体を離すのがイヤで、いつまでもくっつけていたかった。     
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