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「ケッ、どうだっていい。調子こいて勝手にほざいてろ。とにかく俺は眠い。口先だけのハッタリ野郎と、やり合うヒットポイントは残っちゃいない」
シュウが言った。呆れたようにタカッシーの拘束を解く。
それでタカッシーも、ホッと安堵のため息を吐く。
「流石はシュウさんっすよ。勉強になります」
それでも平静を装い、ユッキーナに男としての極意を見せつける。
「自分、後輩を小学校まで送り届けなきゃいけないんで、これで失礼します。それとこれはお詫びの上納品です」
シュウになにか握らせると、ユッキーナを従えてその場からそそくさと歩き出す。
「…………」
それを呆然と眺めるシュウ。それは金太マンの超合金、しかも金太マンイエロー。
「いるかそんなもん」
「ハギャ!」
「ボクの金太マン」
それを投げ付けるシュウ。タカッシーの頭に直撃して、ユッキーナが拾い上げて、脱兎の如く逃げ出して行った。
他の一年生達は逃げる術をなくしていた。シュウの様子を窺い、その場で硬直している。
ファーっと大あくびを掻くシュウ。それがライオンのあぎとにも見えた。
「まぁいいや。おめーらもさっさと消えろ。俺もねぐらに戻らなきゃならんからな」
「すみません」
「俺達はこれで」
こうして一年生達は、素直に頭を下げてその場から去っていく。
こうしておいらは危機を脱出したんだ。遅刻は確定したけど、シュウと二人ならどうだっていい。学年主任のジャイアンだって怖くはない。
おいらの頼もしい友達、シュウのお話しでした__
(この話に興味があれば、『シュラバト~修羅の荒野』をよろしく。中坊の行く末はいかに……)
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