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 それで、僕は祖父母の家に迎えられることになった。そのため、今の学校の距離では遠いため、引っ越しせざる負えなかった。なので僕たちはお別れ会をした。その時も僕は、何も感じなかった。周りが泣いているのが、馬鹿馬鹿しかった。僕は都会の東京から少し離れた埼玉県に転校した。  「席に着けぇ~!」  担任の平井 孝(ひらい たかし)先生が言っている。平井先生は髪の毛に所々白髪が混じっている。だが、歳を感じさせず元気で、生徒の面倒をよく見る良い先生だと評判されている。  気づけば、チャイムはとっくのとうに鳴っていた。号令係が、  「起立、きょうつけ、礼」  と言い、朝の挨拶をした。先生が出席確認をした後は、いつもは読書タイムだ。だが、今日は始業式だった。僕は一番後ろに並んだ。一応一番でかいからだ。アリーナに着くと、上履きからアリーナシューズに履き替えて、整列をした。話している人がちらほらいるが、気にしなかった。始業式が終わり先生が来ると先生は、転校生を紹介すると言い出しクラスは騒がしくなった。この時期に転校するのは、やっぱり親の事情なのか。多分そう思っているのは、僕だけだろう。先生が静かにさせるとドアの方に相槌を打ち、ドアが開いた。そこには、一人の女の子がいた。彼女は  「転校生の広田真海(ひろたまみ)です。よろしくお願いします!」  と言った。すると拍手が起きた。僕は窓の外を眺めていた。拍手が鳴り終わると、先生は、  「とりあえず、受ケ留くんの隣座って。」  と言い、僕を指さした。僕の隣に広田さんが座った。僕は特に気にすることなく窓の外を眺め続けた。彼女は僕に、  「うけとめって言うんだ。」  と、笑われた。  「したの名前は?」  と、聞いてきたので僕は、  「愛斗。愛に斗。十に点々でわかるか?」  と、答えながら、彼女を見た。すると彼女と目が合ってしまった。 彼女は、僕が見た限りでは、眼鏡にショートカット、身長は一七一ある僕より小さい。一六八といったところか。 すると彼女は、  「んじゃ、愛斗くん!よろしくね!」  と、微笑みながら、言った。僕は、すぐに窓の方を眺めた。家族以外でしたの名前を呼ばれたのは小学二年生以来だった。
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