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 彼女は、僕に、好きな食べ物はとか、好きな人のタイプや、彼女はいるのかとしつこく質問をしてきたので、一応答えた。僕は、彼女に何でそんなに聞いてくるのかと聞いても、彼女は僕の声が聞こえないかのように一方的に質問をしてきた。僕は、何故か耳に残る懐かしい声だと思った。僕はただの記憶違いだと思い特に気にはしなかった。  それからというもの授業中も、小さな声で質問をしてきた。そのせいで疲れたし、授業が頭に入ってこないし、うるさくて先生に怒られた。僕が思った彼女の第一印象が、うるさいになった。  僕は、放課後に部室へ行った。制服から、運動着に着替え準備運動を行った。ペアでやるストレッチで余る系男子の僕は、ストレッチの時は静かに体操している。速さの関係上、自分が部長で部活を仕切っているが、声は小さいので聞こえずらく部活をサボる人が多い。まあ、それが理由かは知らないが。ちゃんとやってるっちゃあやっているので、顧問の先生は何も言わない。それが顧問の先生の良いところだ。部活が終わると、ミーティングを済まし、早々に一人で家に帰った。  「ただいま」  と、僕は言ったが、いつもなら聞こえるばあちゃんの元気なおかえりが帰ってこない。それに、人の気配もない。確か祖父母は日帰り温泉だが、五時三十分には、帰ると言っていたが、今は六時すぎだ。帰ってきてもおかしくないのだが。その時に、急に電話が鳴り響いた。いつもだったら、躊躇なく電話に出ているが、今は何か不吉な予感がする。僕は恐る恐る受話器を取ると、全く聞き覚えのない声だった。間違い電話だと思ったが、次の一言で、不吉な予感と聞き覚えのない声の意味が分かった…。  僕は、急いで総合病院へ向かった。
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