死体アルバム

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目の前の電車が男性を弾き飛ばした。 肉は四散し、血のあとが生々しく残る。 至るところから悲鳴が聞こえる。 私は、その声を無視してスマホでさっきまで息づいていた塊を写真に撮る。 カシャカシャ。 何枚も何枚も。 「何やってんだ!」 私の行動に近くにいた男性が肩を掴む。 ここまでか……。 私の体は、スッと消える。 「え……。おばけ!」 肩を掴んだ男性は、そう叫んで尻餅をついた。 私の姿は消えたが、その様を事後処理で忙しく動く駅のホームで見ていた。 私は死体をアルバムに収めなきゃならない理由がある。 もし本当に私が人間だったなら、人様から揶揄される行動だろう。
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