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(最初から大人しく家で寝ていればよかったのかもしれない…)
電話一本入れさえすれば、最近入った気のいいバイトの子が、プリントの印刷くらい快く引き受けてくれるだろう。
しかし、俺が勤めている塾は人手が足りない。自分の仕事は自分でやるのが基本だ。と、常々思っている身としては、来ずにはいられなかったのだ。
俺が勤めている塾は個人塾で小さいが、業績は高い。毎年塾生のほとんどが六大学に受かる。そこで働く者も皆精鋭揃いだ。
設立時から居る他の講師とは違い、俺は2年前に塾長に誘われて入ったため、まだ不慣れなことも多いが、塾長の期待に応えるよう日々努力を欠かさずに来たという自負はある。
授業は週に2日だが、その準備やら何やらで結局週6日の割合で働き、時には徹夜もする。そのせいか、必ず毎年1回倒れるのだが――――今日がその日か。
やっと現状を理解し、帰って休まねば逆に皆に迷惑がかかると判断した俺は、最後の力を振り絞って顔を上げた。
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