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「お褒め頂き光栄です」
「そう言や、何でアンタも俺見つけてんの??」
義政の怒号を浴びたせいで放心状態になっている男を見て、新たな謎に気づく。
「えっと、俺は栄子さんに聞いて…」
「ハァっ? 何で母さんが俺の居場所知ってんだよ」
「倫太のボストンバックには常に探知機がついてるのよ」
「たんちきぃー!?」
受け取ったビニール袋を落とす勢いで度肝を抜かれる。
「倫太、昔から家出する時は必ずそのボストンバックだもの。子供の安否を気遣う親としては当然の配慮でしょう。今日び探知機なんて何処でも手に入るのよ。
私も栄子おばさまに教えて頂こうと思って電話したんだけど、ずっとお話し中で、仕方なく自分で推理したの」
そう言って男の方を向き、会釈する。
「お久しぶりです、青司さん。栄子おばさまの電話のお相手は青司さんだったんですね」
「ひさしぶり、花梨ちゃん」
「ちょっと待て。サッパリワケ分かんねぇぞっ!? アンタと花梨はともかく、何で義政がここに居るんだっ??」
義政の腕を掴んで引っ張ると、それまでカーネルサンダースと化していた義政が、やっと動き出した。
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