【14】 抱擁

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【14】 抱擁

「結局俺は何の為に行ったんだ…」 「感動的な親子の抱擁が見れて良かったじゃん。義政、あの時泣いてただろ?」 「……さあな」 「倫太、これからは、好きな時に青司さんに会っていいそうよ。今まで我慢してた分だけ目一杯甘えたら?」 「ふーん…。でも俺、もうあんまり父さんと会わないと思う。何か、今日のでフッ切れた」 「あら、そうなの」 「それにさ、ガキん頃の気持ちが強かったから勘違いしてたけど、俺って今ハタチじゃん?今更親に甘えたって楽しくないしさー」 「…佐々。先程から気になっていたんだが」 「ん? 何だよ義政」 「この腕は何だ」 「俺の」 「それは分かってる。その腕が、どうして俺の腕に絡まっているのかを聞いてるんだ」 「さあ」 「さあって、お前…」 「どうしてなんて知らねぇよ。ワケ分かんなくても、したい時はするよーに教育されてんの」 「ええ。この生き物は私と栄子おばさまの教育の賜物です」 「ハァ…」  呆れながらつくため息が、今はなぜか、少し甘い。     
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