【15】 竜虎の戦い

3/3
前へ
/69ページ
次へ
「義政、こう見えて一応男なんだけど」 「そうね」 「見たまま男だと思うが…」  何を言っているのかと、呆れながら呟く。 「花梨」 「何?」 「でもやっぱ、義政しか思いつかない」 「さ、佐々っ!?」 「何だよ義政。ジョーに憑依されてどうかしたか?」  何と答えればいいのか戸惑い、動転していると、鷹見君のクスクス笑いが聞こえてきた。 「やっぱりそうだったのね。最後の最後に倫太の心が読めて嬉しいわ。  最初は潜在的重症ファザーコンプレックスのせいだと思ってたけど、今日久しぶりに青司さんと会ってみたら、松倉先生はまったく違うタイプだったから、そうだと思ったの。  倫太はちゃんと、松倉先生本人が大好きだったのね」 「鷹見君…っ」 「松倉先生も、これから時間はたっぷりありますから、焦らずゆっくりとお考えください。では、私はこれで失礼しますね。  倫太のこと、よろしくお願いします」  唯一理性の頼みの綱だった鷹見君は、そう言って頭を下げると、想い人に会える喜びを隠さずに、軽い足取りで部屋を出て行ってしまった。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加