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「義政、こう見えて一応男なんだけど」
「そうね」
「見たまま男だと思うが…」
何を言っているのかと、呆れながら呟く。
「花梨」
「何?」
「でもやっぱ、義政しか思いつかない」
「さ、佐々っ!?」
「何だよ義政。ジョーに憑依されてどうかしたか?」
何と答えればいいのか戸惑い、動転していると、鷹見君のクスクス笑いが聞こえてきた。
「やっぱりそうだったのね。最後の最後に倫太の心が読めて嬉しいわ。
最初は潜在的重症ファザーコンプレックスのせいだと思ってたけど、今日久しぶりに青司さんと会ってみたら、松倉先生はまったく違うタイプだったから、そうだと思ったの。
倫太はちゃんと、松倉先生本人が大好きだったのね」
「鷹見君…っ」
「松倉先生も、これから時間はたっぷりありますから、焦らずゆっくりとお考えください。では、私はこれで失礼しますね。
倫太のこと、よろしくお願いします」
唯一理性の頼みの綱だった鷹見君は、そう言って頭を下げると、想い人に会える喜びを隠さずに、軽い足取りで部屋を出て行ってしまった。
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