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自分の眉がピクッと動くのを感じた。
何を甘ったれたことを言ってるんだ?
仕事に自由を求めているとでも言うのか?
しかし怒ったらアウトだ。いかんいかん。
「自由が欲しいってのは、なかなか難しいよなぁ。会社に入るってのは、不自由なのが当たり前だからなぁ」
「だからノマドワーカーになろうと思ってるんです」
「ノマド?ノーパソ一つだけ持って、自分の好きな仕事をするっていう?」
「はい。そういう働き方に最近憧れてて…」
「あー、それと会社の働き方を比べたら、自由さでは勝てんわ」
やっと彼の本音を引っ張り出すことができた。
ノマドとは英語で「遊牧民」という意味だ。
ノートパソコンだけを持って、ITスキルだけで収入を得ていく働き方のことを指す。
形としては、個人事業主となるものがほとんどだ。
会社に縛られずに、好きな仕事だけで食べていくスタイルには、おれも憧れたことはあった。
「でも、どうやって収入得ていくかは決めてんの?何か特別なパソコンスキルでもなければ、ノマドで食ってくのは難しいだろ?」
「それは…退職してから考えます」
安藤は開き直ったかのように言った。
「まさか、考えてないんか?」
「まぁ…多分ブログになるかなとは思ってますけど…それで稼いでる人いっぱいいるんで、大丈夫だと思います。ですので、これを…」
そう言うと、彼はおずおずと退職願をおれに差し出した。
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