11人が本棚に入れています
本棚に追加
「いい子にしていたか?」
砂生に問いかけると、少し唇を尖らせて、わかりやすく拗ねた様子を見せてきた。
「起きたら小守くんがいないから、驚いたんだけど。……一人でお出かけ?」
「なんだ。誰かと出かけて良かったのか?」
「滅相もない。そうじゃなくて。けど、起こしてくれたら一緒についていくのに」
「ついてこなくていい。必要ない。……というよりも、来てしまったらプレゼントの意味がないだろう。ほら」
僕は少し視線を外して、手に持っていたケーキの箱を掲げて見せた。
砂生が息を飲んだのがわかる。そんな様子が気配で伝わってくる。
その空気が照れくさくて僕の態度は素っ気なくなる。
「ご褒美だ」
そんな風に言ってしまう。
砂生のほうをうかがい見た。すると、砂生はキラキラと瞳を輝かせて僕を見ていた。
わかりやすく喜んでいる。そんな姿に僕の胸が一瞬、きゅんとする。
最初のコメントを投稿しよう!