その階がアレの時…

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 猛暑がつづく八月のある日……  大阪北部にあるマンションに住む北村サヤ(38)は、中央区にあるKホテルで、ハウスキーパーをしていた。 「いつも、ジリジリ暑いけど……きょうは少しマシかな……?」  見上げるその空は、どんより曇っていた……。  サヤの出勤姿は、いつものように紺のスーツの上下だ。  部屋を出ると、心で合掌(がっしょう)しながら、 「今日は満室になりますよーに……」  ふと見ると、名前の知らない花が咲いていた。 「なーんか、いい気分よね……」  ニッコリ笑うと、地下鉄駅に向った。
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