その階がアレの時…

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 カーテンが閉めてある室内は暗く、気のせいか空気が重かった。  照明をつけてから、部屋全体を見渡した。  特に異常はなく、噂の陰気な臭いもなかった。 「ね。やっぱり、ただの噂なのよ」  バスルームに入ると、清掃員の忘れ物だろう、一枚のタオルが残っていた。 「しょうがないわね……。あの新入りかな……?」  湿ったタオルを拾ってから、タブレットに『不備』のチェックを入れた。  バスルームから出て他の箇所も確認し、部屋を出ようとした時、ふと、 「そうだ、思い出した……噂によると、夕方以降、一度出た者が、もう一度入ると、ヤバイ事が起きる――とか……」
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