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※※※※※※※※ 壁がせまってくる。 モニターが、せまってくる。 さえずりが。 一人の男の『宇宙』が、せまってくる。 修二はいまさらになって、訪れたことを後悔していた。 「なんのために…」 「なんですか?」 「なら、なんのために、俺を」 力をこめ立ち上がる。 「一人でつながらないSNSならそれでいい。なぜそれを俺に教えた!!」 男の顔が歪んだように思った。 顎に手をもっていく。 男の緩慢な動作。 そこから目がはなせない。 唇がさけるような笑いをもらす。 「同窓会とは、人とつながることでしょう?違いますか?」 「でも、そのつながりが出来ない孤独な人間だから」 「だからです」 男はゆらり立ち上がる。 「確かめて見たくなったんですよ。自らの『宇宙』との交信は、どれくらい正しいのか」 「どれくらい、正確なのか」 「どれくらい、間違っているのか」 「私の中にある宇宙は、あなたのような人間と似ているのか」 「似ていないのか」 「『私は』、」 ドアが閉じる。 音がした。 ※※※※※※※※※※※※※
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